深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
しみじみ言うと、恭也は「だろ?」と自慢げに返す。

共感されたのが余程嬉しいようで、ここにいる間の彼の機嫌はすこぶる良かった。

楽しいデートだな。

食事を終えて、時間を確認する。映画まであと2時間。

ゆっくり移動したら、ちょうどいい時間になるかな。

「そろそろ出る?」
「ああ、そうだな」

席を立って、レジへ向かう。

同じタイミングで会計しようとしていた女性と、レジ前でぶつかりそうになる。

恭也が「どうぞ」と譲った。

すると、相手の人の目が「あら?」目を丸くなる。

恭也も同じように驚いた。

「古谷(ふるや)さん……」
「成瀬さん、こんにちは」
「こんにちは。ビックリですね」
「ええ……あ、お先に失礼しますね」

レジに伝票を出す女性は、黒髪ロングヘアーの美人さんで、年齢は私たちと変わらないように見えた。

恭也との関係が気になる。どちらも敬語で話していたから、仕事関係かな?

会計を終えた古谷さんという人は、恭也に会釈してから階段を降りていった。

私たちも会計を済ませて、かフェの外に出る。

「あ、成瀬さん」

先ほどの古谷さんが恭也を見て、近寄ってきた。

もしかして、待っていた?

さっきは恭也に関心がないような素振りだったけど。
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