深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
「私と小野田……主人は幼なじみなの。私たちは同じような家柄の人と結婚するよう親から言われていたけど、私は家のことよりも自分の気持ちを優先させて、好きな人と結婚したの。でも、結婚生活は二年しかもたなかったわ」

その頃のことを思い出したのか、典子さんの表情が暗くなる。

「家柄が違うことで相手は、うちの親や親戚に攻撃されることが多かった。私が庇って支えたけど、うまくいかなかったの。もう限界だから別れてほしいと言われてしまってね、主人の最初の結婚も同じだったわ。私も主人も周囲の反対を押し切って結婚したから、大切な人を傷つける結果になってしまったの。だから、恭也さんとあなたには同じ思いをさせたくないというのが、私たちの気持ちなのよ。わかってもらえるかしら?」

恭也のお父さんも典子さんも自分の選択が間違っていたと後悔した上で、アドバイスしてくれている。

一度失敗したから、二度目の結婚は釣り合う家柄の人を選んだ。幼なじみで、お互い二度目ということで、気が楽だったそうだ。

今は支え合って、穏やかに暮らせているという。

理解できる話だった。でも、納得できない。

私たちが同じようになると思えないから。
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