深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
「私は誰に何を言われようとも、気にしないでいられると思います」
「私もそんなふうに思っていたわ。でも、駄目だったのよ」

思いどおりにいかないことは、よくある。私も……最高の誕生日になると思っていた日が恋人に振られる日となった。

でもあの日、恭也に出会えた。再会するための誕生日だったのだと今となっては、ボジティブに考えることもできている。

それに、今は恭也と暮らせていることが幸せだ。

それなのに、うまくいかないとか、別れろとか言われたら……さすがに気分が落ちていく。

言い返す気力がなくなり、口をつぐんでいると、私のスマホが鳴動した。画面に表示されている文字は「成瀬」。

このタイミングで恭也から連絡が来るとは、良いのか、悪いのか……。

スマホを手にするものの、動けない。

「電話? どうぞ、出て」
「あ、ありがとうございます」

お礼を伝えて、応答の文字をタップし、スマホを耳に持っていく。

『さやか、一人で寂しくない?』
「ん、うん……」

寂しい。

恭也を失うと考えたら、ものすごく寂しくなった。

今すぐ会いたい。
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