深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
悩みながら、部屋のカーテンを開けたけれど、隣のビルしか見えなかった。まだ数時間しか経っていないのに、恭也の部屋から見えた景色が懐かしくなる。

そろそろ、恭也の仕事が終わる頃だ。メッセージを見て、どんな顔をしているかな。

きっと驚いているだろう。

それから、どう感じているかな。

怒っているか、呆れているか……もしかしたら、ホッとしているかもしれない。

私がいなくなれば、周囲から小言も言われずに済むから、煩わしいことがなくなったと思っているかも。それなら……私のところには来ないだろう。

でも、恭也はきっと来る。だって、私のことが好きだもの……。

「ハハハ」と乾いた笑い声が出た。

彼の行動をあれこれと勝手に想像しながら、一喜一憂する自分が滑稽に思える。

もし彼が職場に来た場合、どうするか対策を考えよう。むやみに追い返すのではなく、顔を見て話した方が納得してくれるかも。

お互い未練が残らないようにするために、話さなければいけない。

彼が出張を終えた日、その時がやって来た。

「中田さん、お客様が見えていますよ」と男性社員から声を掛けられた。仕事関係で私を訪ねてくる人はいない。
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