フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
「お待たせしました」

彼の前にチャーシュー大盛りとチャーハン、それから餃子が乗ったトレーを置く。

「お、うまそう。ん?俺餃子頼んだっけ」

「あ、それサービスだって」

「サービス?」

「お父さんから」

視線で厨房にいるお父さんを指す。お父さんは「小夏の友達なんだろ?どんどん食え」って笑った。

「父さんってことは、ここお前んちなの?」

「そうです」

「スゲー!」

なにがスゲーんだろう。よく分かんない人だ。

「やっべ、超うまい!」

見た目は細身なのに、ラーメンもチャーハンも餃子も次々と彼の口の中に放り込まれていく。

「おっちゃん、超うめーっす」

「お前、いい食いっぷりだなぁ」

お父さんは、この人を気に入ったみたいだ。確かに、見てて気持ちいいくらいバクバク食べてる。

私の好きな、おいしそうによく食べるタイプの人だ。

「お前こんなうまいの毎日食えんの?超幸せ者じゃん」

「いや、毎日は食べてません」

「なんでだよ、もったいねぇ」

「家がラーメン屋だからって、毎日は飽きますよ」

「俺なら飽きねーのに」

「お、じゃあ将来店継ぐか?」

「ちょっと、お父さん何言ってんの…」

「いーっすねそれ!」

あっという間に完食した彼はそう言いながら笑って、喉を鳴らしながらお冷も飲み干した。

ホント、コミニュケーション能力の高い人だ。
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