フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
「なぁ、ちょっといいか?」

お会計の後、その人は私に声をかける。私も一緒に店の外に出た。

「そいえば、名前言ってなかったよな?俺福間(フクマ) 善一(ゼンイチ)っつーの、よろしくな」

「はぁ」

「今スマホ持ってるか?」

「持ってますけど」

「なら出して」

その人、福間さんはポケットからスマホを取り出して、私に突き出す。

「ほら早く」

「はぁ」

私も同じようにポケットからスマホを出すと、福間さんは「連絡先、交換しようぜ」と
言った。

微妙な顔したら「なんだよ、嫌なのかよ」とちょっと凄まれたので、結局交換してしまった。

「小夏、高校生?」

「はい、高一です」

「俺専門行っててさ。美容の。今二年」

「へぇ」

「なんだよ、興味なさそうだな」

「いや、なんか納得したっていうか」

「納得?」

「髪型、カッコいいから」

私の言葉に一瞬目を丸くした後、福間さんは「お前、可愛いな」なんて意味不明なセリフを口にした。

「ていうか敬語なしな」

「はぁ」

「はぁ、じゃねぇよ」

「まぁ、そのうち。というか私、店戻りますね」

「あ、悪りぃな」

福間さんは片手をあげると、

「また来るわ、小夏」

って笑いながら帰っていった。
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