フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
「あれ?相崎さんじゃん!」

というわけで、私達は近くの焼肉食べ放題レストランへとやってきた。

さすが土曜日、比較的早い時間とはいえ、店内はお客さんでいっぱい。少しだけ待って案内された席に三苫さんと二人で座ると、すぐに横から声をかけられた。

「あ、江南君」

江南君は両手にお肉のたくさん入ったお皿を乗せて、目をまん丸にしてる。

「偶然だね」

「うん」

「あれ?お兄さん?」

江南君はニカッと笑った後、不思議そうにチラッと三苫さんに目を向けた。

「うん、ウチのバイトに来てくれてるお兄さん」

「あ、ラーメン屋の?」

「うん」

「ふぅん?」

江南君は何ともいえない返事をした後、ペコッと三苫さんに頭を下げた。

「こんにちは」

三苫さんは相変わらず、人当たりのいい表情。

「じゃあ、また学校でね」

正直、江南君と話してるよりお肉を取りに行きたい。三苫さんだって、いつまでも話してたらいい気はしないだろうし。

「あ、うん」

微妙な顔しながら、江南君はそのまま去っていった。家族と来てるのかな、それとも友達?

「すみません」

「ううん。今の友達?」

「友達っていうか、高校のクラスメイトです」

「そっかぁ」

あれ?三苫さんまたちょっと顔が知らない人に…?

「行こっか」

「え?」

「お肉取りに」

「あ、はい!」

三苫さんがニッコリ笑ったので、私も安心。食べ放題は時間との勝負なのに私がタイムロスさせちゃったせいで、イラッとさせたのかもしれないって不安だったから。

まぁ、三苫さんがそんなことで怒るとは思えないし、私の勘違いだろう。
< 28 / 104 >

この作品をシェア

pagetop