フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
「小夏ヤバくない?フラグ立ちまくりのモテまくりじゃん」

「それがさぁ、そんな風に思えないんだよね。私が思ってたフラグと違うし…」

少女漫画とかスイーツ映画とかでよくある、イケメン二人からの告白。それに揺れ、悩む主人公。そんなシーンを鼻で笑いながらも指を咥えて羨ましがってた私。

いざ自分がその立場になってみると、あんな風に二人の間をふらふらと行ったりきたりなんてできるはずもなく。

友達は嫌って言った藤君と、友達からって言った福間さん。

あの後二人とも、普通に私に接してくれる。

若干、物理的な距離が近くなったような気がしないでもないけど。



「こんな贅沢なことで悩む日がくるとは思ってなかった」

コーラを勢いよく飲んでも、いつもより喉に刺激を感じない。

「アンタってホント分かんない子よね。あれだけ恋愛フラグがどうだの絶対チャンス掴むだの言ってたくせに。いざ掴めそうな状況になると、すぐ弱気になるんだから」

「だってさぁ…」

「深く考え過ぎだって。好きな方と付き合えばいいじゃん」

「分かんない」

「は?」

「ねぇ華様、好きってなんですか?」

「…アンタに彼氏ができない理由が今ハッキリ分かったわ」

「どうすれば好きってことなの?どっちにもキュンキュンするし、二人とも一緒にいて楽しいし、大好きかって言われると自信ないけど、会えなくなるのは寂しいし」

「小夏さぁ」

「うん」

「そんな女が一番嫌いなんじゃなかったっけ?」

「…仰る通りです」

「要するに、どっちも好きじゃないってことね」

「そうなのかなぁ」

「少なくとも、今はまだ特別じゃない」

私は、あの二人にとって特別なんだろうか。こんなこと考えるなんてめちゃくちゃ嫌な女みたいで、自分で自分のことが嫌いになりそうだ。
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