フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
「…分かった」

藤君は、にこりと笑ってくれて。でも寂しそうで、そんな立場じゃないのに私の方が泣きそうになった。

「こんなことならもっとしっかり告白しとけば良かったなー」

「あの…」

「いや、最初にズルい言い方した俺が悪いし。やっぱ男らしくなかったよね」

「そんなことない!藤君は優しくて、喋りやすくて、かっこよくて…」

「あはは、ありがと」

「ごめんね、私。今日最後の最後にこんなこと」

「ううん、今日付き合ってくれてありがとね相崎さん」

「説得力ないかもしれないけど、ホントに楽しかった!今まで行った水族館の中で一番楽しい日だった!」

「そ?なら良かった」








「藤君…ごめんね」

俯くのが嫌で、私は彼の目を見つめる。ちゃんと告白されたわけでもないのにこんな風に言うのは、間違ってるのかもしれないけど。

「…相崎さん、俺と居る時相崎さんって感じじゃないもんなぁ」

藤君はそう言って、苦笑いする。

「え?」

「俺さ。相崎さんが大口開けて食べてるの、結構好きだったんだよね。後、誰に対しても同じ感じで接してるとことか、自分がどう見られるかって気にしてない感じとか」

「ん?」

「今日、食べてなかったよね?あんま喋ってなかったし、声もいつもと違ってた」

「それはまぁ…猫被ってたからね」

アハハと笑う私に、藤君も笑顔を見せた。

「そういうところ、いいなって思ったんだよな。猫被んない相崎さんも、猫被ってたって言っちゃう相崎さんも。あーあ、ふられちゃった」

「あ、あの」

「クラス一緒だし、普通にしてね?」

「うん」

「変に気とか遣われる方がやだしさ」

「うん…」

漫画でよくある「これからも友達で」ってやつ、リアルでは絶対ないでしょって思ってたし正直今も思ってる。

きっともう、藤君とは前みたいにできないって。

それを分かってて私は、この答えを選んだんだ。

「あぁー!」

急に声を張り上げた私に、藤君は肩をビクッとさせる。

「な、何?」


「いや、何でもない!自分にイラッとしただけ」

頬っぺたをパン!と勢いよく叩くと、藤君は「意味不明」って言いながら笑った。
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