フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
「結局なにが聞きたかったんだっけ?」

「いや…だからどうしてその人を選んだのかってことをですね」

「好きだから」

「世界で一番?絶対好き?なにがあっても変わりません?」

「んなもん分かんねぇよ」

「分かんねぇのに付き合うんですかあなたは!」

「なにキレてんだよ」

「だ、だって!そんなハンパな気持ちで付き合ったって、相手のこと傷付けちゃうかもしれないのに」

口にした後、ハッとする。

「あ…ご、ごめんなさい」

軽々しく口に出していいことじゃなかった。

ヘラッと笑顔を作ると、レジへ向かう。

「お会計しますね」

「あのさ」

福間さんは、レジに置いてる私の指にそっと触れる。一瞬ピクッと反応してしまったけど、福間さんはどけようとしない。

「小夏は俺と違って周りのことよく見てるし、すげぇいいヤツだ」

「…そんなことないです」

「お前が好きだよ、俺は」

カッと頬が熱くなる。こんなに真っ直ぐに見つめられたら、私も目を逸せない。

「悩んでんなら、俺を頼れよ小夏」

「福間、さん」

「待ってやるから。お前が答え出すまで」

「あ、あの私…っ」

「ま、そんだけ」

二カッと笑って手をどけると、コインカウンターに小銭置いて重そうなカバンを肩に掛けた。

「ていうかお前、小学生みたいなことで悩むよなぁ。ウケるわ」

「は、はぁ!?」

「そこが可愛いけど」

ボン!と顔から湯気が吹き出た。この人は、色々直球過ぎる。

「もうちょい、俺のこと考えてろよ。別に断られたからって恨まねーし」

「ふ、ふくまさ」

「じゃ、ご馳走様〜」

言うだけ言って、福間さんは去っていった。

し、心臓壊れそう…!

ヘニャヘニャとその場に座り込みながら、他に誰もいなくてよかったと心底思った。
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