フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
「はい、完成」

福間さんが私の背中側から鏡を向けて、後ろまでちゃんと見えるようにしてくれた。

「ありがとうございます」

ちょっと照れくさいけど、顔を少しずつ左右に傾けて鏡を見つめる。

凄い、めちゃくちゃ可愛い。いや髪型が、だけど。

左サイドは編み込みしてあって、全体的にフワフワで、後ろは束ねてあってそこがお花みたいになってる。上手く言えないんだけど、派手に見えないのに凝ってる感じがして、ホントに可愛い。

「小夏っぽくていいだろ?」

得意げに笑う福間さんの笑顔の方が、私よりよっぽど可愛い。

「えへへ」

照れながら笑うと、福間さんがスイッと目を逸らした。

「…やべ、予想以上に可愛いな」

「ち、ちょっとやめてくださいよ!」

そんな顔されると、どう反応したらいいのか分からなくなる。

「専門的なことは分からないけど、福間さんが私のこと考えてこの髪型にしてくれたんだなって凄く伝わりました。さっき言ってたこと、福間さんなら絶対できると思います」

「…」

「私、偉そうでしたか?」

「…いや、ありがとな」

照れたように頬を掻く福間さんを見て、私も嬉しくなった。

福間さんみたいに、私も何かに一生懸命になりたい。

今はまだ具体的な夢もやりたいことも分からないけど、だからこそ色んなことを全力で頑張ろう。私なんかには無理って思わないで、挑戦しよう。

キラキラ輝いてる福間さんを見て、私もそんな風に思えたのだった。
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