フラグを全力で育てる系女子の恋愛事情〜なぜか溺愛されてますが〜
二人で適当なベンチに腰掛けて、アイスクリームを食べる。内心「あれ?」と思わなくもないけど、だからってツッこむ勇気もなくてただ黙ってアイスを食べた。

「お前いちいちそんな気にしてたらこれから先の人生どうすんだよ」

私より遥かに早いペースの福間さんは、もうコーンの端っこをガジガジ噛んでる。

「え、そ、だって」

「好きじゃねぇもんはどうしようもねぇだろ」

「好きですよ!好きだから…だから…ずるい考えばっかり浮かんじゃったんです」

「ずるい考え?」

「断ったら、もう話せなくなるのかなって」

「お前、俺と話したいの?」

「は、話したいです!」

「じゃ話せばいいじゃん」

ソフトクリームをすっかり食べ終わった福間さんは、こともなげにそう言った。

「福間さんはそれでいいんですか?調子のいいこと言ってるって思わないんですか?」

付き合えません、でもお話はしたいですなんて、これ漫画のヒロインが言ってたらネットのレビューにボロクソ書かれそうなくらい身勝手なことなのに。









「思わないね、俺は。小夏、俺と立場逆だったら思うか?」

「思いません」

「だろ?ていうか結局、お互いがよけりゃなんでもいいんだよ。他は知らね」

「…」

「俺はお前と付き合いたいと思って告った、それがダメだった。ただそんだけじゃん」

「そんな風に思えるのが凄いです」

「いや実際へこんでるし、別にいい加減だったわけじゃねぇよ?でもそれ俺の問題じゃん。小夏に対して腹立つとかそんなんあるわけねぇよ」

「…凄いですね、福間さんは」

「何が?」

「私、一瞬で救われちゃいました」

そう言って笑うと、福間さんは目を丸くした後私と同じように笑った。

「変なヤツだな、小夏は。お前軽いなって腹立ててもおかしくないぞ」

「そんなことないです、福間さんは優しいです」

「そうかよ」

「ソフトクリームもおいしいです、ありがとうございます」

「また店に食い行くわ」

「はい、待ってます」

まさかこんな風に言ってくれるなんて思わなかった。やっぱり福間さんはいつも、私に新しい世界を見せてくれる凄い人だ。
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