可憐な花は黒魔導士に二度恋をする
猫との出会い
 朝から降り続いていた雨が上がり分厚い雨雲がなくなると、明るい日差しが降り注ぎ始めた。
 
 白魔法学の受講を終えたわたしは、ハインツ先生の研究室に戻る途中の渡り廊下で空に大きな虹がかかっていることに気づき、小走りで研究室に戻った。

「ハインツ先生!」
 
 勢いよくドアを開けたせいでギョッとしているハインツ先生をよそに、わたしはランチバッグを掴むとハインツ先生の袖を引いた。
「大きな虹が出ているんですよ。今日のお昼ご飯は外で食べましょう!」

 中庭のベンチはすでに乾いているように見えたが念のためハンカチを敷き、そこに並んで座るとハインツ先生にランチバッグを渡した。
 特に嫌がるそぶりもなく、わたしに言われるがままに従ってベンチ座るハインツ先生に、正面を見るように促す。
「ほら、見てください!」

 指さす空に大きな虹がかかっている。
 周りの木々の葉にはまだ雫が残っていて、それがキラキラ光っている様子もとても幻想的だ。

「うん、虹だな」
 ひと言そう言うと視線を手元のランチバッグに戻して中からサンドイッチを取り出す様子に唖然とする。

 ちょっと!ここはもう少し感動しましょうよ!

 
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