原田くんの赤信号
 離れ難い、自宅前。わたしの手は、原田くんの赤いパーカーのポケットにお邪魔する。

「瑠美、まじで寒くないの?」
「うん、平気」
「寒かったら言えよ」
「ありがとう」

 あれだけ知られたくなかった自宅の場所も、原田くんが送ってくれるならば、何度だって往復したい。

「ねえ原田くん」
「うん?」
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「なに。今日の瑠美は、質問だらけだな」

 わたしを助けようとしているうちに、わたしを好きになってくれた原田くん。そんな彼には必然と、こんな疑問が浮かんでくる。
 
「原田くんが何度も過去をやり直すうちにわたしを好きになっていったなら、一番最初はどうして過去に戻ることができたんだろうね。その時はわたしたち、ただの友だちなのに。そこに強い想いも、なにもなかったのに」

 不思議じゃない?と原田くんへ問いかけてみるけれど、彼は当然でしょうと言わんばかりの、不敵な笑みを浮かべていた。

「それはあれじゃん?俺が最初、自分は赤好きって気付かなかったのと一緒じゃん?」
「一緒?」
「無自覚だったってだけで、本当は俺の人生に欠かせない人だったんだよ、瑠美は」

 原田くんは素直な人だ。普通の人ならば恥ずかしくて伝えられないことを、いとも簡単にスラスラと言ってくる。

 嬉しい!と素直に気持ちを表現できずに、熱い顔と共に無言になっていると。

「なんか瑠美、顔赤いけど」

 原田くんにそう言われて、またもや顔に集まる熱。

「そ、そんなことないっ」
「えー赤いよ赤い」
「原田くんの赤がうつったのっ」
「俺の赤ぁ?」

 さあ、次はどんな原田くんを発見できるかな。

「あ。もしかして照れてるんだろ」
「ち、ちがうもん!」
「あら瑠美ちゃん、可愛いーっ」
「ちがうってば!」

 それがどんな原田くんでも、わたしのこの想いは変わらない。

 これからもよろしくね、原田くん。
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