原田くんの赤信号
原田くんとの思い出
今からさかのぼること、約九ヶ月。
四月七日、高校の入学式。
中学校卒業の日に満開だった桜はすっかり散り落ちて、緑色の葉の下で、真っ新な制服を身にまとった。
同じ小中学校出身の美希ちゃんが、彼女のお母さんと一緒に自宅のインターホンを鳴らしてくれて、約束もしてなかったけど「一緒に行こう」って誘ってくれたのがすごく嬉しかった。
美希ちゃん以外でこの高校に進んだ友だちは、あまり喋ったことのない子たちばかりだったから、少し緊張していたんだ。
わたしのお母さんも、顔見知りの美希ちゃんのお母さんがインターホン越しに見えた時は、安心したように見えた。
高校へ到着すると、校門傍に大きな模造紙が貼り出されていた。そこには一組から八組までの、クラス発表。
一組から順に目で追っていくと、同じタイミングで、四人の声が揃う。
「一緒だ!」
その瞬間、隣の美希ちゃんとぱちんと合わせた両方の手のひら。
「やったね、美希ちゃん!」
「やったあ!」
中学校からの友だちは、一年三組に美希ちゃんだけ。
わたしよりも快活で、決断力もある彼女と同じクラスになれたことは、とても頼もしく思った。
「あ、見て見て瑠美っ。あの人、超背ぇ高くない?」
見知らぬばかりの生徒に緊張し、ドキドキしながら入った一年三組。バレー部にもバスケ部にも見えた高身長の男の子に、わたしたちふたりは目を奪われた。
「ほんとだぁ……おっきいねえ」
「190センチくらいはあるのかな」
「うん、そうかもね」
「誰だろ」
「えーっと……」
机に置かれていたたくさんのプリントの中から、クラス名簿を取り出して、黒板に記載されている席順と照らし合わせる。
人差し指でビシッと彼の名をさした美希ちゃんが言う。
「福井斗真、だって」
「福井斗真くんかあ」
「高身長ってだけで、なんだか名前もかっこよく聞こえるね」
「あはは、たしかに」
福井斗真くん。教卓前に座る彼は、いつもわたしの視界に入った。
四月七日、高校の入学式。
中学校卒業の日に満開だった桜はすっかり散り落ちて、緑色の葉の下で、真っ新な制服を身にまとった。
同じ小中学校出身の美希ちゃんが、彼女のお母さんと一緒に自宅のインターホンを鳴らしてくれて、約束もしてなかったけど「一緒に行こう」って誘ってくれたのがすごく嬉しかった。
美希ちゃん以外でこの高校に進んだ友だちは、あまり喋ったことのない子たちばかりだったから、少し緊張していたんだ。
わたしのお母さんも、顔見知りの美希ちゃんのお母さんがインターホン越しに見えた時は、安心したように見えた。
高校へ到着すると、校門傍に大きな模造紙が貼り出されていた。そこには一組から八組までの、クラス発表。
一組から順に目で追っていくと、同じタイミングで、四人の声が揃う。
「一緒だ!」
その瞬間、隣の美希ちゃんとぱちんと合わせた両方の手のひら。
「やったね、美希ちゃん!」
「やったあ!」
中学校からの友だちは、一年三組に美希ちゃんだけ。
わたしよりも快活で、決断力もある彼女と同じクラスになれたことは、とても頼もしく思った。
「あ、見て見て瑠美っ。あの人、超背ぇ高くない?」
見知らぬばかりの生徒に緊張し、ドキドキしながら入った一年三組。バレー部にもバスケ部にも見えた高身長の男の子に、わたしたちふたりは目を奪われた。
「ほんとだぁ……おっきいねえ」
「190センチくらいはあるのかな」
「うん、そうかもね」
「誰だろ」
「えーっと……」
机に置かれていたたくさんのプリントの中から、クラス名簿を取り出して、黒板に記載されている席順と照らし合わせる。
人差し指でビシッと彼の名をさした美希ちゃんが言う。
「福井斗真、だって」
「福井斗真くんかあ」
「高身長ってだけで、なんだか名前もかっこよく聞こえるね」
「あはは、たしかに」
福井斗真くん。教卓前に座る彼は、いつもわたしの視界に入った。