犬猿☆ラブコンフリクト
だとしたら「ゾウのボディプレスで俺の腕イカれたー」ぐらい言いそうだけど。
教室で絡まれた時も──
“・・・分かったらさっさとそいつの胸ぐらを掴んでるきったねぇ手を離せやクソ豚”
教室でいじめっ子に殴られそうになったら、力技だったけど助けてくれたし。
階段から落ちそうになった時も──
“っぶねー・・・気ぃつけろ”
教室でなんだかんだ言ってたのに、助けてくれたし。
ボールがぶつかりそうになった時だって──
“今日、やけに流れ玉多いな・・・気をつけろよ、辻本”
私の事、かばうようにしてボール弾いてくれてたし。
こいつ、なんだかんだ言いつつも心配してくれる時は心配してくれるからな。
もしかすると、私が申し訳なさそうにしてるから言い出しにくいとか・・・?
「・・・ずっと腕見てるけど・・・もしかして、さっきので腕痛めた?」
腕を見つめたままだった二海に声かをかけると、ハッとしたように顔を上げて腕を隠すように背に隠した。
「・・・別に。ゾウ並のプレス喰らっても平気なぐらいには鍛えてるっつーの」
「なっ・・・!!何その言い方!!人がせっかく心配してんのに・・・!」
二海の発言に、さっきまでの申し訳なさがどこかへ行ったように怒りが湧いてくる。
本っ当にコイツ、こういう言い方しかできないの腹立つなぁ!!
「あー・・・、つーかよ、毎回ここら辺でデカく揺れてんだから、いー加減覚えとけよ」
ガシガシと頭をかきながら私の方を見る二海。
その言葉で私は図星をつかれてしまう。
そういえば、昨日もこの辺りで大きく揺れたな。
「・・・わ、わかってるよ。昨日も同じ所でぶつかっちゃったし・・・一応悪かったなって思ってるよ」
申し訳なさで口ごもりながら返事をすると、二海はふーん・・・と何か言いたげに顎に手を当てた。
「・・・あの態度で?」
「っ・・・それは、アンタが腹立つような言葉を吐き捨てるからでしょ!?」
「だからってあんなふくれっ面で食いついてくる奴いるかぁ?」
さっきまでの申し訳なさはどこへやら・・・怒りが爆発し、またもや言い合いになってしまう。
そうだよ、こいつはこーゆーやつだよ!
デリカシーのや欠片もないし、初対面で暴言吐くような性悪男だった!
・・・なんか、心配して損した気分。