NEVER~もう1度、会いたい~
ようやく心を通じ合わせてから、でも2人が結ばれるまでには、少し時間が掛かった。もちろん翔平のケガがまだ癒えてなかったこともあるが、未来がそれに消極的だったからだ。正直戸惑いを覚えた翔平だったが、やがてそれが彼女が闘病の代償として、自らの身体に残る手術あとを自分の目に晒すことに躊躇いを感じているからであることに気が付いた。


それだけではない、未来がなぜ自分の前に姿を現すことを避け続けていたのか?それは黙って姿を消した負い目も、翔平の周囲に女の影が常にちらついていたこともあったが、なにより自分の身体が翔平の子供を産むことに耐えられないかもしれないという不安もあったからだったとカミングアウトされた時、翔平は思わず胸をつかれた。


「でも今、未来は俺の横にいる。ずっと一緒にいよう、そう約束したよな。」


「うん・・・。」


「だったら、それが全てじゃないか。俺たちはずっと一緒にいるんだ。それ以上のものなんて、なにも必要じゃないだろう。」


「翔くん・・・。」


「身体の傷をお前が俺の目に触れさせたくないって思う気持ちはわからないでもない。結ばれても子供が授かれないかもと不安に思うのもわかるよ。俺はお前が本当に苦しい時、側に居てやれなかった。でもお前が生きる為にどんなに勇気を振り絞って病気と戦い続けたかは、わかってるつもりだ。その代償の傷を俺が汚らわしいなんて思うはずないだろう。例え、お前との間に子供が授かれなくても、そんなことで俺がお前を疎ましく思うことなんて、あり得るはずがないだろう。俺が一緒にいたいのは、心から愛してるのは未来、お前なんだから。お前以上に大切な人なんて、この世にいないんだよ!」


未来の目をまっすぐ見て、翔平は訴える。その熱い姿を見て、未来の目から涙が溢れ出して来るのに、時間は掛からなかった。


「翔くん!」


自分の名を呼び、胸に飛び込んで来た恋人を、翔平はしっかりと抱き止める。


「翔くん・・・ありがとう、ありがとう・・・。」


「未来、もう1度だけ言うぞ。もう絶対にどこにも行くな。なにがあってもずっと俺の横にいるんだ。絶対だぞ・・・。」


「うん・・・。」


翔平の腕の中で、未来はコクンと頷いていた。
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