NEVER~もう1度、会いたい~
「そっか・・・。」


(翔くんは日本のサッカ-少年の憧れの存在なんだ。やっぱり凄いな・・・。)


未来がそんなことを思っていると


「それで・・・。」


理央の声が聞こえて来る。


「うん?」


「・・・その時はお前も一緒に海外に行くんだから、頑張って早く元気になれって言われちゃいました・・・。」


「えっ?それってプロポ-ズじゃない。」


驚いて聞き返す未来に


「真くんは昔っから『お前は身体が弱くて、嫁の貰い手なんてないから、俺の嫁さんにしてやるから安心しろ。』とか、そんなことばかり言って来るんです。」


そう言ってまたまた顔を赤らめて俯く理央。


「凄い俺様な性格してるんだね、真くんって。」


「はい。昔は年上の私に甘えてたのに、いつのまにか・・・・。」


「そっか。従姉弟同士なら結婚できるもんね。」


「そんな・・・未来さんまで本気にしないで下さい。」


「でも、真くんにそう言ってもらって、理央ちゃんは嬉しくないの?」


その問いに、それまで恥ずかしそうにしていた理央がハッと未来の顔を見る。そして一瞬の間の後


「嫌じゃ・・・ありません。」


ポツリと言ったあと


「でも私たちはまだ子供ですし、そんな将来の話なんか、なんの現実性もないし、第一、私のこの身体じゃ、そんなの夢物語にもなりませんよ。」


「理央ちゃん・・・。」


「真くんは本気で言ってくれてるのかもしれませんけど、私にはそれに応えられる自信がないです。ううん、たぶん無理だから・・・。」


悲しそうに続けた理央に


「そんなこと、ないって!」


未来は声を励ました。


「自分の未来を信じられなくなったら、辛くなるだけだよ。理央ちゃんの病気は確かに簡単には治らない。でもね、これから理央ちゃんが成長して、体力がもっとついてきたら必ず克服できる病気なんだよ。そんなあやふやなものを信じられないって思うかもしれないけど、いくつもの過去の症例が、それを示してるんだよ。真くんはあなたが病気を克服して、自分と一緒に海外に行く日が来ると信じている。だから彼の思いに、理央ちゃんも応えて欲しい。」


そう言って、じっと理央を見つめる未来。


「未来さん・・・。」


理央の目から、ジワリと涙が滲み出る。


「理央ちゃんが羨ましいな・・・。」


「えっ?」


「その若さで、あなたを守り、励ましてくれる素敵な彼氏がいるんだから。」


「だから彼氏じゃないですって・・・。」


理央が泣き笑いの顔で言うと、未来も思わず笑みをこぼした。
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