先生、優しくしないで
「ウィリアム先生なんて、大嫌いです！！」

そう吐き捨てるように言い、有紗は教室から飛び出した。ウィリアムは有紗を呼び止めることも、追ってくることもない。

廊下の真ん中で有紗は足を止め、その場にしゃがみ込む。その口からは嗚咽が漏れ、涙はスカートにシミを作っていった。

望んだはずの結末だった。これで気持ちを捨てられると有紗は考えていた。だが、有紗の心はまだウィリアムに対する想いを叫び、傷を抉っていくのだ。



ウィリアムに「嫌い」と伝えてから一週間、有紗とウィリアムは話すことはなくなった。ウィリアムの方からも声をかけてくることはなくなり、有紗は必死に傷付いた心を誤魔化す。

そして今日、生徒たちが楽しみにしていた創立記念パーティーを迎えた。普段は生徒たちが食事を取るカフェテリアが花や風船で飾り付けられ、パーティーホールとなっている。

レース素材の長袖のついた水色の可愛らしいドレスを着た有紗は、華やかに飾り付けられ、豪華な食事が用意されたパーティーホールでポツンと立っていた。このような場所に来るのは初めてで、どうすればいいのかわからない。
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