先生、優しくしないで

「……有紗にとって、僕はおじさんだ。だから、この気持ちを君に伝えてはいけないと思っていた。ただの「優しい先生」でいたかった。だけど、他の男の隣に有紗が立つなんて嫌だ。君を散々傷付けておいて、自分でも最低だとわかっている。だけど、言わせてほしい」

ウィリアムは、今にも泣き出してしまいそうな声で囁くように言う。そして、二人の体がゆっくりと離れた後、ウィリアムはその場に跪き、有紗の左手を取り、真剣な眼差しを向けた。

「有紗、君のことが好きなんだ。どうしようもなく愛してる」

有紗の目の前がぼやけていくのがわかった。ひどい言葉をかけてしまった。取り返しのつかないことをしてしまった。それでも、「愛してる」と彼は伝えてくれている。有紗の胸が苦しく、それでいて温かいものに包まれていく。

「わ、私、友達から「この気持ちは諦めた方がいい」って言われて、自分の感情なのに、他人に左右されて気持ちを捨てようと必死になって、ウィリアム先生を傷付けてしまいました。ごめんなさい」