旅先恋愛~一夜の秘め事~
その後、駅へと向かう麗を見送った私は、当初予定していた市内観光に出かけた。
「……ここであってるのかな……」
京都好きの同僚に聞いたおすすめの店舗に向かおうと、地下鉄に乗車したが改札を出た途端、迷ってしまった。
地図を読むのが苦手な私は常にスマートフォンの道案内アプリに頼っている。
道端で立ち止まり確認するが、土地勘がまったくないせいか道がわからず、途方に暮れる。
夕方が近づき、人通りが増えてきた。
とにかく目印になりそうな場所まで移動しようと大きなビルの前まで歩き、再び足を止める。
画面に視線を落とすがわからず、誰かに道を尋ねようかと頭を上げた途端、人にぶつかりそうになった。
カシャンと派手な音を立ててスマートフォンが手から滑り落ちる。
「す、すみません!」
咄嗟に体を引いて、私が転ばぬよう腕を伸ばしてくれたのは細身の男性だった。
「……いえ、お怪我はありませんか?」
「大丈夫です。ごめんなさい、周囲をよく見ていなかったもので……」
返事をし、改めて男性の顔を見上げる。
その瞬間、眼前に立つ男性のあまりに整った容貌に息を呑んだ。
無造作に分けられたやや長めの前髪が、形の良い額と整えられた意思の強そうな眉を軽く覆っている。
スッと通った鼻筋と薄い唇が完璧なバランスで小さな顔に配置されている。
私を見下ろす、切れ長の二重の目を縁取るまつ毛は驚くほど長い。
「……ここであってるのかな……」
京都好きの同僚に聞いたおすすめの店舗に向かおうと、地下鉄に乗車したが改札を出た途端、迷ってしまった。
地図を読むのが苦手な私は常にスマートフォンの道案内アプリに頼っている。
道端で立ち止まり確認するが、土地勘がまったくないせいか道がわからず、途方に暮れる。
夕方が近づき、人通りが増えてきた。
とにかく目印になりそうな場所まで移動しようと大きなビルの前まで歩き、再び足を止める。
画面に視線を落とすがわからず、誰かに道を尋ねようかと頭を上げた途端、人にぶつかりそうになった。
カシャンと派手な音を立ててスマートフォンが手から滑り落ちる。
「す、すみません!」
咄嗟に体を引いて、私が転ばぬよう腕を伸ばしてくれたのは細身の男性だった。
「……いえ、お怪我はありませんか?」
「大丈夫です。ごめんなさい、周囲をよく見ていなかったもので……」
返事をし、改めて男性の顔を見上げる。
その瞬間、眼前に立つ男性のあまりに整った容貌に息を呑んだ。
無造作に分けられたやや長めの前髪が、形の良い額と整えられた意思の強そうな眉を軽く覆っている。
スッと通った鼻筋と薄い唇が完璧なバランスで小さな顔に配置されている。
私を見下ろす、切れ長の二重の目を縁取るまつ毛は驚くほど長い。