訳あり子育て中は 御曹司からの猛攻にご注意下さい
子供の為なら命を投げ出せると言う人がいる。
もちろんそれだけかわいいってことだろうし、大切な存在ってことだろう。
でも登生と暮らすようなるまで、私はその言葉を信じてはいなかった。
たとえ親子でも違う人間。他人のために命を投げ出すなんてありえないと思っていた。でも、最近になってわかった。
無条件に私を信頼し、無防備に私を頼ってくる登生が本当にかわいい。まるで自分の分身のように感じている。
もし、登生を失うようなことがあれば、私は体半分なくしたような気持ちになるだろう。
そして、私にとって登生は自分の身を犠牲にしても守りたいかけがえのない存在なのだと気づいた。

「ウワァーン」
「僕、大丈夫?」
登生の泣き声とともに聞こえてきたのは、焦ったような男性の声だった。

あ、登生が、道路に飛び出したんだ。
この時になって、私はやっと現実に引き戻された。
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