ネジの飛んでいる彼
私の通う中高一貫校は校則が厳しく、バイトも厳禁だが、ヒロくんは自由な校風の公立に進学したので、バイトも可。

ゆえに、何かバイトをしたいと言っていたヒロくん。

部屋で求人誌を見ながら、一緒に考えていたのだが、まもなく兄の自動車整備工場でヒロくんが働き始めていたのには、ビックリした反面、やっぱりそうきたか…とも思った。

いくら兄が社長とはいえ、公私混同で仕事の邪魔はできないから、見目麗しい王子のようなヒロくんが、油にまみれて働いてる姿を見たいと思っても、我慢しているのだ。


それもすべて、母にはお見通しなのか。

私が工場へ行く理由をわざと作ってくれているのだろう。
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