クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
やたらと柔らかいこの床が落ち着かない。少し前まではここに立つことは当たり前だったのに、初めてきたかのようなそんなことを考えていた俺の心の中など知る由もない父は、俺を睨むように見据えていた。

「どうせ今の仕事など遊びのようなものだろう。藤堂の後継者の自覚があるのか」

少し語気を荒げ、頭から否定するようなその言葉に、俺はグッと拳を握りしめて耐える。
実家である藤堂コーポレーションは国内最大手の会社だ。全国に何百、何千という店舗を持つ飲食店を初め、カフェ、イタリアン、など幅広く展開している。

そのほかにも、不動産や人材派遣など幅広く取り扱うグローバル企業で、それを一代で気づき上げたのがこの父だ。

俺も帝王学を初めこの会社を継ぐために育てられてきたが、どこまでいっても二代目としか見られない。親の七光りそんなことを言わるのはいつものことだった。
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