愛たい夜に抱きしめて
꙳☄︎
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その〝お話〟が、半強制的な誘いだということは、なんとなくわかった。
「すみません、付き合わせてしまって」
「毎夜暇だから、気にしないで」
からから窓を開けて、風が時折吹き抜けていくベランダで、互いの顔がぎりぎり視認できる夜。
今度はちゃんとブランケットを羽織って、ベランダに出ていた。
氷昏は習慣の深夜徘徊にでも出かけたか。
それとも、生活習慣を治すために、はやくに寝てしまったか。
どちらにしろ、氷昏の保護者みたいな紫昏くんが、こうやってわたしと話せるということは、氷昏がリビングにいないことは確か。
「……その、話って、なに?」
そうそうに例のお話とやらに切り込むと、紫昏くんは気まずげに目を逸らすこともなく、至ってなんてことないように笑った。
「……乃坂さんが僕らに不信感を募らせているみたいだったので、それをそろそろ払拭しておきたいなと、思いまして」