愛たい夜に抱きしめて
紫昏くんのせいじゃない、なんて。
そんな言葉、彼には不要だ。
だって、彼はもう、自分の弱さを恥じて、悔やんで、悩みきってしまっているから。
だからこそ、そうじゃない言葉がいる。
紫昏くんのことを考え、悩んで、導き出した答えが必要だと思った。
それはたぶん、わたしじゃなくて、氷昏でも、クラスメイトの誰かでも。紫昏くんのことをきちんと考えてくれる人なら、たぶん誰でもよかったんだろうけど。
「……は、」
目を丸くして。気が抜けたような。
そんな彼に届いたのなら、必死に絞り出した甲斐があったというもの。
「………………そん、な、こと、いわれた、の、はじめて、です」
「……なんか知ったような口をきいて本当に申し訳ないと思っています存外わたしの口が回りましてこちらとしても非常に驚いておりまして、」
「謝罪は求めてないんですけどね……」