どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
Love21 長い夜と食事会
Love.21 長い夜と食事会


今からパーティーに行くと連絡があったのが午後4時。

いつもならもう終わっている時間なのに。
もう夜の11時半。

終わったら会いに行くと言ってくれたけど、そんなの断れば良かった。

圭史さんは社長。
忙しい圭史さんには休んでもらうことが一番なのに。
パーティーで疲れてるからいいよって言えなかった自分が、恥ずかしい。

彼女失格。


こうして待ってしまうのもつらい。

断れば良かった。
また月曜日に会社で会えるのに。


「早くお風呂入りなさいね」


お母さんが部屋のドアをノックした。


「お母さん、あのね、会って欲しい人がいるの」

「そう。今日は体調が悪いからまた今度聞くね」


口調は優しいけど、言っていることはとても冷たく感じた。

聞くくらい今できるんじゃない?って言いたかった。


でも、うつ病のことはわからない。

調べても調べても答えはないし、人によっても違う。


「わかった」



私はそう言って、お風呂へ向かった。



圭史さんへメッセージも送らず、もう待つのはやめようと。



「……やっぱりきてないか」 


お風呂から出て、期待している私がいた。

でも、着信はなかった。



0時を超えた。

もう寝よう。
変な想像ばかりしてしまって、やっぱり眠れない。

私はパーティーなんて知らない。

パーティーで何があるのかも知らないし、その後にどんなことがあるのかもわからない。


圭史さんが好きになってくれた私は、今の私と違う気がした。

今の私は、ささいなことで不安になって、変な想像して、自分を追い詰める弱い万由。

こんな私でも圭史さんは好きでいてくれるのかな。


安心したかと思ったら、次の日にはまた不安になって。
もう大丈夫って思ったのに、すぐにまた自信がなくなる。


朝になって、眠れないと思っていても眠れている自分に驚いた。

慌てて携帯をチェックするも、着信もメッセージもなかった。

こんなことは初めてだった。





< 106 / 189 >

この作品をシェア

pagetop