どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~


ちょっと見ない間にもうすっかりテントもタープも綺麗にできあがっていた。



大きなキャンプ場で、私達30名分のひと区画は貸し切り。

少し離れた場所には、他のグループのテントがたくさんあった。


「とりあえず、みんな乾杯!!」


吉田さんの掛け声で、みんな離れた場所から乾杯をした。

乾杯のその瞬間にも目が合った。

圭史さん、嬉しそう。
良かったね!

みんなが圭史さんのところにビール片手に集まって、乾杯しているのが見えた。


「便乗しちゃお」

と佐竹さんに引っ張られ、圭史さんの元へ。


「社長、お疲れさまです」


佐竹さんが圭史さんのビールの缶に缶を合わせた。


「お疲れ様です」

と私も缶を軽く合わせた。

一瞬恥ずかしくて目をそらしちゃったけど、もったいないからと思い直し、再び顔を上げた。


「お疲れ様、小久保さん」

「………っ」



なんか、そう言ってくれた時の顔がものすごくかっこよくて、ああやっぱり大好きだなって思ったんだ。


優しくて包み込むような笑顔。


大好き。


こんな素敵な人が私の彼氏なんだ。
でも、引け目に感じることはないってわかった。

ちゃんと、選んでくれたから。
私を……
私は、選ばれたたったひとりの人なんだって、自信を持つって決めたんだ。





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