どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~


「社長、どこ行ってたんすか」


「悪い悪い。佐竹とキャンプファイヤーの打ち合わせしてた」


佐竹さんは、社長たちのグループに混ざり、乾杯をしていた。


私がテントの付近に戻ると、視線を感じて。

新井君が私を見ているのがわかったけれど、気付かないフリをして吉岡先輩とお酒を飲んだ。

絶対バレないようにしなきゃ。



夜も更けていき、広場に集合し、キャンプファイヤーの時間になった。

圭史さんと一緒に買ってきた花火を楽しんだ後は、火の周りにしゃがんで、みんなで火を見つめていた。

こんな風に自然の中でゆっくり過ごす時間は、私達社会人にはあまりなくて。


圭史さん達上層部の人達なんてもっと、そうだと思う。

みんな頭の中ではいろんなことを考えている。

静けさの中で、焚火が燃えるバチバチという音だけが聞こえていた。



「今回は、社長のおかげでこんな楽しいことができて、ありがとうございます」

誰かがそう言って、圭史さんは照れくさそうに手を顔の前で振った。


この時間が永遠に続いて欲しいと思うくらい穏やかで、ちょっと切ない青春のような。

そんな時間だった。



ふと気がつくと火の向こうにいる圭史さんがずっと私を見つめてくれているように見えた。

炎を見ているのかもしれない。

でも、目が合っているような気がした。

真面目な真剣な顔をしていて、私も同じように見つめ返す。


好きだよ、大好き。

ずっと一緒にいさせてください。


涙が溢れそうだった。

今夜はみんながちょっとそんな気分になっていたに違いない。


この会社に入って良かったと心から思った。




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