どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~



パーティーの最初に、圭史さんのお父さんからのお話があった。

相談役ではなく、お父さんの顔をしていた。

そこで話してくれたのは、社長としての圭史さんではなく、息子としての圭史さんだった。


負けず嫌いなのに優しくて、小さい頃はよく泣いていた、と。

スポーツは何をやらしても得意で、サッカー選手になりたいと言っていたんだって。

バレンタインにはたくさんのチョコをもらったけど、もらっていない友達がかわいそうだから、とかばんに隠してこっそり持って帰ってきたこと。

初めてのバイト代で、圭史さんからネクタイをプレゼントしてもらったこと。


どれも心が温まるエピソードだった。



そして、圭史さんからも。

参列してくれたみんなへの感謝の後に、私に言ってくれた。



「万由さんは、僕にとってオアシスのような存在です。仕事で何があっても、万由さんがいれば、本当の自分に戻れる。結婚して良かったと思ってもらえるよう、温かい家庭を作りたいと思ってます。社長として頑張るのは当然ですが、男として愛する人をしっかり守っていきたい。万由、本当にありがとう」


「圭史さん……」 



涙が止まらなかった。

私の家族も涙ぐみながら圭史さんを見つめていた。

私は自分だけがつらいと思っていたのかもしれない。

お父さん、お母さん、そしてお兄ちゃんにもつらいことはいっぱいあって、
その中で、ちゃんと私を心配してくれていたこと……

圭史さんに出会い、私はいろんな発見をした。
視野が広がり、客観的に自分を見ることができるようになった。

家族の関係も少しずつ変わりつつある。


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