記憶の花火〜俺が暴いてやるよ、欲望にまみれた秘密を〜
「へ……え……まだそんな瞳、でき……んだ」

「千夏、蛍の件から手を引けよ、俺が何とかするから」

花灯の掌が、千夏の首元から、突き飛ばすようにして雑に離される。

「犯人の目星でも?」

「千夏も分かってんだろ、波多野文香のスマホ、復元しただろ」

千夏は、クククッと笑った。

「花灯は、ぬかりないよな。お前、ワザと、波多野文香のスマホ、池に入れただろ。勿論中身を、自分のパソコンに転送してから」

「……さぁ、何のことかわかんねぇな」

花灯は、タバコに火をつけた。俺もタバコを咥える。

「やめたんじゃなかったのかよ」

「最近、吸いたくなってね」

花灯の顔が、怪訝になるのも構わず、ニコチンを吸い込み、夜空に吐き出した。

2本の白い煙が、暗闇にゆらゆらと揺れる。

「で?僕が、この波多野が持ってた『蛍のスマホ』を復元してる間に、お前が、色々調べる時間が出来たって訳だ」

口に煙草を咥えたまま、両手を頭の上で組んだ千夏を眺めながら、花灯が、白い煙を大きく吐き出した。
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