大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
『とりあえず、伊藤家の娘に三条の子を産ませれば、俺は自由だ。
 孕ませたら、捨てよう』

 た、助けてっ、誰かっ。

 ばあやっ。

 披露の席に行く前に着飾った咲子を見て、立派におなりになって、と涙を流していたばあやの姿を浮かんだ。

 ばあやが心配したら申し訳ないから、ばあやには、この結婚への不満は言いづらいっ。

 助けて、お義母さまっ。

「ちゃんと初夜に私が選びに選んだ寝巻きを来てくれた?」
と眉をひそめる弥生子の顔が浮かんだ。

 駄目だ。
 絶対、助けてくれそうにないっ。

 文子さんっ。

「初夜ってどんな感じですの?」

 参考に、と紙とペンを手にした文子の姿が頭に浮かぶ。

 自分の結婚の参考にする気満々で助けてくれそうにないっ。

 美世子さんっ。

 ――が、一番、助けてくれそうだっ。
< 47 / 256 >

この作品をシェア

pagetop