妖怪ホテルと加齢臭問題・その後の小話・オトナの現実と何とかの糸

お家に帰る

「夕飯・・まだだよね。
ご飯、一緒に食べよう」

久遠は、子どものように鼻をすすりあげて、上体を起こした。
「うん、うん」
そう、言いながら、
こぶしで、目をこすっている。

「一緒に帰ろう。お家に・・」
天音は、ついに言ってしまった。
これこそが、
現実の結婚宣言ではないか。

それを聞くと、
久遠が、安心したように、ほうと息を吐いた。
「あとね、こどもができたら、
絶対、認知するから。
俺さ、ちゃんといいダディになるよ」
久遠が決意表明すると、

天音は、少し困り顔で笑って
「結婚するなら、認知は、しなくても大丈夫だけど」

少し考えて、天音は言った。
「あなたのお母さんのお墓参り、
一緒にいきましょうね」
その時は、
あの黒の留めそでを、着るのが
いいか
いや、墓参りなら、
もう少し地味目の、小紋にするべきだろう。


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