婚約破棄される未来を変える為に海に飛び込んでみようと思います〜大逆転は一週間で!?溺愛はすぐ側に〜
紳士的で真面目で気配りも出来る。
女性だからと差別をせずに、しっかりと皆が活躍出来る場を用意したいと考えて、周りの状況をキチンと把握している。

勉強熱心なドウェインの事を密かに尊敬していた。

それに、いつも嬉しそうに此方の話を聞いてくれている。
そんな優しさは、疲れ果てていた心に響くものがあった。

パトリックではなく、ドウェインと結婚することが出来たなら、どんなに幸せだっただろうか……そう思ったこともあった。

何より志高く、己を高めて、民の為に、人の為にと頑張るドウェインを見ては「自分も頑張らなくては」と気合を入れる事もあった。

『覚えています、全部……貴女のことは』

頭に浮かぶのは優しい笑みを浮かべるドウェインの姿だった。
自分を王子だと言わなかったのは何故だろう。
甘い物が好きだと言ったことはあっただろうか?

『マデリーン様が元気そうで本当に良かった』

宝石のような紫の瞳が嬉しそうに細まった。
けれど、どこか悲しそうに笑う顔を見ていると不思議な気持ちになる。

(……どうしてかしら)

何かが思い出せそうで思い出せない。

カップケーキを食べてお腹が一杯になり、罪悪感を感じつつ横になる。

(ドウェイン様は……どうしていつもわたくしのことを気に掛けてくれるのかしら?)

瞼が重たくなっていく。
そのまま眠りに落ちた。
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