婚約破棄される未来を変える為に海に飛び込んでみようと思います〜大逆転は一週間で!?溺愛はすぐ側に〜
いつも申し訳なさそうに部屋に入ってくる父に笑顔を見せる。


「起きてますわ!おはようございます、お父様」

「おはよう、随分と顔色が良くなったな」

「はい……心が、とても楽なんです。それにお父様とお母様とお兄様と毎日顔を会わせる事が、とても嬉しいと感じるんです……」

「…………」

「……お父様?」

「…………幼い頃から寂しい思いばかりをさせていたと頭では分かっていた。こうしてゆっくりとマデリーンと顔を合わせて話したのはいつだったか、もう思い出せないと気付いて驚いた」

「…………」

「ラフルにも言われたよ……僕は色々と覚えている事も沢山あるけどマデリーンは二人と遊んだ思い出や、ましてや一緒に過ごした記憶すらないのではないかと…………二人が何も言わないからと甘えていたのだ。情けない限りだ」

「……お父様」

「独り言だと思ってくれ。すまない」


酷く落ち込んで暗い顔をしている父に紅茶を淹れるように頼む。

最近、こうして後悔ばかりしている父を見ていると、まるで以前の自分を見ているようだと思った。
不器用で愛情深い父は、本当に立派に国の為に働いているが、一生懸命になり過ぎて周りが見えなくなってしまう事があるのだろう。

(以前のわたくしを見ているみたい……早くお父様に"大丈夫"って伝えたい)
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