婚約破棄される未来を変える為に海に飛び込んでみようと思います〜大逆転は一週間で!?溺愛はすぐ側に〜
(……着る事は絶対にないけど、一応開けてみましょうか)

侍女に箱を開けてもらうと、そこに入っていたのはやはりドレスだった。
広げてみると、明らかに色々な部分のサイズが合っていない。

薄ピンクのフリルや赤いリボンが沢山ついた可愛らしいドレスはローズマリーには似合うかもしれないが、とても着れたものではない。

(これだけ長い期間一緒に居るのに、ドレス一つすらまともに選べないなんて……信じられないわ)

なんとも言えない色とデザインに押し黙っていると、それを見た侍女がカンカンに怒りながら、そのドレスについて文句を言っている。
「趣味が悪い」「あの女を思い出して最悪の気分ですわ」「サイズを知らないなんて信じられない」「今すぐ燃やしましょう」
そんな言葉を聞き流しながら思っていた事があった。

(これが本当の殿下の趣味だったのね……今まで誰が選んでいたのかは知らないけれど、パトリック殿下にドレスを選んで貰わなくて良かったと心の底から思うわ)

こんなフリルやレースが沢山ついたドレスを今まで着たことがないのだが、今までずっと一緒に居たのに一体何を見てきたのだろう。

(それにしても、どういう意図があって、このドレスを贈ってきたのかしら……?)
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