婚約破棄される未来を変える為に海に飛び込んでみようと思います〜大逆転は一週間で！？溺愛はすぐ側に〜

「マデリーン、全て私達に任せてゆっくり休みなさい」

「……ですが」

「辛い記憶かもしれないが、あの男の事で何か思い出すような事があれば教えて欲しい……」

「はい」

「やはりアレは王の器ではなかったようだ……チッ、最初から分かってはいたがここまで酷いとは」

「………」

「必要なものがあれば言うんだぞ？痛む場所があればすぐに侍女に言って、それから……」

「もう……お父様ったら心配し過ぎです！わたくしなら大丈夫ですから」

「うむ、だが……」

「ありがとうございます。お言葉に甘えて夕食の時間まで休ませて頂きますわ……なんだか、すごく疲れました」

「……あぁ、それがいい」

「あの、お父様……」

「どうした？」

「お父様も、夕食を御一緒できますか？」

「……！勿論だ。手早く済ませてくる」

「はい。お待ちしております」


機嫌良く去って行く父の背中を見送った後、サイドテーブルに置かれた花束を手に取った。


「綺麗……」


咲き誇る向日葵は太陽のように輝いて見えた。
いつも上を向いて咲く、この花が大好きだった。

(ドウェイン様……)

思い浮かぶのは困ったような悲しいような、そして嬉しそうな表情で此方を見ている姿。
紫色の瞳と目が合った瞬間……とても切ない気持ちになる。

侍女達に花瓶を持ってきてもらうように頼んでから横になった。