恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
「どう? 食べられそう?」
 私を見つめるその目がとても温かくて尊い。
「私が作るより美味しい」
 はにかみながら返すと、彼が極上の笑みを浮かべ私におねだりする。
「今度美鈴の食べてみたいな」
 なんなのこれ? まるでラブラブの恋人じゃないの。
「い、一条くんに病気になられたら困ります」
 照れ隠しにそんなことを言ったら、彼は私の目を見つめてきた。
「だったら、美鈴の得意料理でいい」
 ある意味、これは甘い拷問。
 なんでもいうことを聞いてしまいそうだ。
「得意というか、よく作るのならハンバーグ。歩が好きだから」
 ぶっきら棒な口調になってしまったが、彼は気にせずまたお粥を掬って私の口に運ぶ。
「楽しみにしてる。はい、あーん」
 そんなやり取りを繰り返してお粥を完食すると、インターホンが鳴った。
「菊池とお手伝いさんが来た」
 一条くんは腕時計を見ると呟くように言って、また寝室を出ていく。
 すると、彼と入れ替わるように歩が現れた。

< 106 / 256 >

この作品をシェア

pagetop