恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 私が彼を見かけることはあっても、今まで目が合ったことはないのだ。
 彼にとっては私はたくさんいる社員のひとり。
 平社員の私と副社長の彼とは住んでいる世界が違う。
 高校時代、同じクラスだったけれど、やはり彼は誰もが一目置く存在だった。
 私が通っていたのは都内でも有名な名門私立高。
 幼稚舎から大学までエスカレート式で、幼稚舎からいる生徒は基本的に良家の子息子女。
 うちが貧乏だったから、必死に勉強して私はその学校に特待生として入学した。中卒で就職してもいい仕事に就けないし、親は頼れなかった。
 私が入った学校は、成績が学年のトップファイブに入っていれば授業料も寮費も免除で大学まである。
 しかし、やはり周囲がお金持ちということもあり、咲以外友達はできなかった。
 クラスメイトには貧乏人と馬鹿にされ、いろいろひどい扱いを受けていたけど、彼は私をそんな偏見の目で見なかった。
 ただ単に眼中になかっただけかもしれないけど……。
 どうしよう〜。マズイよ。マズイ。
 一条くんが依頼人だなんて絶対に無理。
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