恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
「世間の基準でいうと美人なんだろうが、俺には美鈴がいるから関係ない」
「ブレないねえ。まあ、今まで女っ気なかったお前が自分の家に住まわせるくらいだもんな。芹沢さん美人だし」
「お前、絶対に手を出すなよ」
「へいへい、わかってるよ。そんなに大事なら早く結婚して、彼女の手に結婚指輪でも嵌めておけ。芹沢さんは社内でも人気あるからな。お前もうかうかしてられないぞ」
「お前に言われなくてもわかってるよ」
 拓真が副社長室を出て行くと、ポケットからコバルトブルーの封筒を出して封を開ける。
中に入っていたのは便箋一枚と写真が二枚。
 手紙には【お前、自覚してないだろうけど、芹沢さんのこと好きだと思うぞ。写真見てちゃんと自覚しろ。そんでもって、ちゃんと告れ】と書かれていた。
 写真は高校時代のもの。
 一枚は高校の図書室で眠っていた美鈴に俺が着ていた学ランをかけてやった時のもの。
 もう一枚は文化祭で執事に扮装する美鈴のネクタイを俺が直した時のショット。
 
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