恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
歩がふふっと楽しそうに笑っていて、ハッとする。
 もう弟は私と絢斗が恋人だということを知っている。
 クリスマスに知ったというよりは、私と絢斗が愛し合った翌日から勘付いていたよう……な。
 弟はとにかく空気を察するのに長けているというなんというか、こちらがビックするくらい勘が鋭い。
 それに、最初に絢斗と保育園で会った時も、いつもの歩ではなかった。
 普段はとても警戒心の強い子で自分からは大人に近づかない。でも、絢斗にはすごく興味を示した。私が大人の男性と一緒だったのが初めてだったからかもしれないけど、あの時社用車を見ていつも以上にはしゃいで見せたのは、絢斗をもっと観察したかったからだと思う。
 自分たちの味方なのか。いざという時守ってくれるのか。
 それで絢斗は見事に歩の信頼を得た?
 穿った見方かもしれないけれど、うちの弟はただの五歳児じゃない。私の前で子供を演じている節がある。
 絢斗もそんな歩の性格を理解している。
 なんだか似た者同士なのよね、絢斗と歩って。
 
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