恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
「お金の問題じゃありません!」
「歩がいるから専属契約は受けられない? 寝言で歩って言ってたよ。美鈴の恋人?」
 一条くんの口から思いがけなく歩の名前が出てきて、「あっ!」と叫んだ。
 歩のお迎え!
 一条くんの不意打ちの呼び出しで、時間のことを忘れていた。
 チラッと腕時計を見ると、午後六時二十五分。
「もう時間がない。迎えに行かなきゃ!」
 歩のことがあって慌てて副社長室を出ようとしたら、いつの間にか一条くんが私の背後にいて手を掴まれた。
「待って! まだ話は終わってない」
「待てません! 保育園が閉まっちゃう!」
 私が力一杯一条くんの手を振り払うと、彼は呆気に取られた顔をした。
「え? 保育園?」


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