恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 多分、一条くんが歩の面倒も見てくれたのだろう。
「別の部屋で寝てる。熱、まだ三十七度五分あるから急に起き上がらない。昨日歩くんは別の部屋で寝てるって話したんだけど、覚えてない?」
「そう言えばそんな話をしたような……って、えっ、このシャツは?」
 彼の返事を聞いてホッとするが、不意に今着てい類シャツが目に入ってきて慌てた。
 この黒いシャツ……私のじゃない。
「俺の。昨日美鈴の服が汗で濡れてたから着替えさせた。それも覚えてない?」
 着替えさせた?
 言われてみれば、彼に汗を拭かれて、着るの手伝ってもらって……。
 その時の光景を思い出して、顔が一気に熱くなった。
「今更照れても、ホテルでほとんど裸状態の美鈴を見てるし」
「あ~、それ言わないで! 結局……あの夜私と……なにかあったんですか?」
 知るのが怖かったが、思い切って彼に尋ねたら、質問で返された。
「美鈴はどんな答えを望んでいるのかな?」
 この言い方。やっぱり彼と寝たの?

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