アイドルが彼氏になったら

25.別れ

社長が車にのる

「おはよー」

 「おはようございます」

珍しくため息をついている
バックミラー越しに顔を確認すると何だか様子がおかしい

 「あれ?顔が赤くないですか?」

「そう?」
「あ、さっき気合い入れるのに
 顔叩いたからかな 笑」

 「体育会の部活生しゃないんですから
  そんな事しないでくださいよ。
  これで少し冷やしてください。」

冷たいペットボトルを渡す

「ありがとう〜さすがパクさん!」

 「はい 何でも言ってください」

「じゃあちょっと質問があります。
 パクさん?」

「記者に私のこと何か話した?」

 「な・・んのことですか?」

いきなり刺すような質問に言葉が詰まる

「この間突然家に記者が
 来たじゃない?
 あれはパクさんの
 知り合いじゃなかった?」

 「…」

「答えたくなければ答えなくて
 いいけど、
 それが答えでいい?」

 「…」

「どうしてそんな事になったの?」

答えられる訳が無い

「誰よりも私の近くにいて
 支えてくれたのに、
 一緒にここまでやってきたじゃない?」

なぜそんな事に…
最後は社長の独り言のようになった

 「知らなかったんですか?
  誰よりも近くにいたのに
  気づかなかったんですか?」

 「私が社長に好意があることを
  わかっていたでしょ!」 

興奮して大きな声になった

「なんとなくはわかっていたわ
 でも私からは何もできないもの」

 「こんなに何もかもを愛せるのは
  私しかいないのに
  社長に釣り合うのは私しかいないのに
  何であんなアイドルなんかと!」

 「若いやつがいいのか?
  金か?
  ステータスか?
  私を手放したら絶対後悔しますよ」

ハンドルを叩いた

「私はあなたに恩返しがしたいと思って、
 ずっとそばにいてもらったの」

「私ができることは報酬を渡す事
 だけだから
 私からの気持ちは全て金額で
 語らせて頂きました」

 「ここまでやってきて金で解決かよ!」

「違うわ」
「でも今、優しい言葉をかけても
 怒りは収まらないでしょ?」

 「違う違う違う!」

声が大きくなる

「そもそもなぜ怒ってるの?
 成就しなかったから?
 世の中成就しない事なんて
 たくさんあるでしょ?」


「私はパクさんと金でつながってるとは
 一度も思ったことはないです。
 唯一無二の存在だと思ってました。」

「このまま一緒に世界を目指したいと
 思ってるし、
 ずっとそばにいてほしいと思ってます」

「パクさん、、、
 出会った当初の関係に戻ることは
 できませんか?」

 「はんっ」

鼻で笑う

 「社長、私は出会ったその日に
  あなたを好きになっていました。
  どこまで戻っても無駄です。」




 「リークしたのは私ですよ
  どうぞ解雇してください
  近くにいても歪んだ愛情を
  ぶつけてしまうだけでしょうから」

「パクさん!やめて!
 辞めるなんて考えないで」

「私はあなたとこれかからも一緒に
 やっていきたい
 ビジネスとして良好な関係を
 築けるようにならないですか?」

沈黙

「少し会社を休んでいいので、もう一度考えてもらえませんか?」




 「そうですね。
  少し頭を冷やしてみます。」

「ありがとう、期待してます」

その後、臨時の運転手に引き継ぎし休暇を取った

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