アイドルが彼氏になったら

「全然!」

「そんな事で呆れちゃう女じゃないよ、
 大丈夫。
 むしろ大切に思ってくれてて嬉しい」

「ヤキモチも焼いたっていいじゃない?
 私だって焼いてるし」


 「え!そうなの?
  そんなタイミングあった?」

「動画がたくさんあるじゃない?」

 「あー 動画か…
  あれはどうにもできないね、
  一生付き合わなきゃいけない
  公式以外は見ないでおいて」

「うん、そうしてるよ」

「でも溢れるほどでてくるからつい…
 仕事は理解してるし、
 いつも女性に囲まれる環境という
 のも理解してるつもり
 メイクさんとかみんな女性だしね」

 「そうだよねー僕の方がいっぱい
  そんな要素はもってるんだよね」


 「でも目の前にいる僕を信じて、
  僕の言葉だけ聞いてほしい」

「わかった、ユジュンだけを信じる」

 「そうしていれば心はいつも
  平和だし、何かあれば僕に聞けば
  いいしね
  この熱愛報道はなに?とかね」

「冷静でいられるかな?(笑)」 

 「僕に関してナミ以外の熱愛報道は
  全て嘘だから!」

「うん大丈夫だよ」

あーちょっと眠くなっちゃったなーと
大袈裟に伸びをしてゴロンと私の膝に頭をのせる

帽子の上から撫でてると帽子をとって催促された

可愛いやつめ
髪をクシャクシャと揺らして
ぺたんこの髪をとかすように指ですく
サングラスの下の目が閉じて気持ちよさそうだ

それにしても男性でこんなに
お肌ツルツルの人っているんだなー
髭とったら私よりツルツルだわ

顎を撫でてみる
さすがにジョリジョリ

 「いやん、ちゃんと剃れてなかった?」

「んーん 触りたかっただけ〜」

くるっと上を向いて私の顔を捕まえて
自分の方に近づける

柔らかい唇

 「本当に柔らかい」

同じことを思ってる

もう一度引き寄せ強くしっかり
合わせる

誰かにもこんなキスをしてたのかな
動画を思い出し
一度顔を離す 

顔がみたくてサングラスをとった


両手で顔を包む

私から屈んで深いキスをした

珍しいね、優しくささやく

アリ地獄にハマったらこんな感じかも
ユジュンの舌は大きくて厚みがあって気持ちいい
私の舌を絡めて奥に連れていく

甘い渦の中で頭が空になる




山を散策し冷麺を食べ、歌ったり
笑ったり、叫んだり、疲れたところで
時間になり車の待ち合わせ場所に行く

車に乗り音楽を聴きながらいつのまにか
寝ている彼
毎日忙しいもんね、お疲れ様

外の景色を見ながら脳みそがガラガラと定位置に戻る音がする

スマホをみて会社からの連絡を確認、明日のスケジュールを思い出し
メールを打ち始める


私の大好きなユジュンの歌が流れる
横で眠る彼を見ながら夢ではない事を確認した
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