目の上の義母(たんこぶ)
だから、ついついやってあげたくなってしまう。


いわゆる、これが『母性』というやつかもしれない。


あの頃のわたしは本当にかわいかった。

翔平のためなら、なんでもしてあげたくなるのだから。


しかし、今になってよくよく考えてみたら、わたしにとっての『母性』は…。

翔平にとっては、ただの『家政婦』としてしか思われていなかったのかもしれない。



家事は嫌いというわけではなかったけど、べつにわたしだって結婚してからも『家政婦』になりたかったわけじゃない。


できることなら仕事を続けたかった。

今の生活のように、『専業主婦』を望んだことなんて一度だってない。


ふと、棚に飾っている結婚式の写真が目に入った。


ウェディングドレスを着たわたしの隣に、グレーのタキシードを着た翔平。

2人とも、満面の笑みだ。
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