目の上の義母(たんこぶ)
幸せそうな…わたし。


だけどこれが、わたしの人生の幸せのピークだったのかもしれない。



朝の9時過ぎ。

突然、わたしのスマホが鳴る。


この音は、電話の着信音。


スマホを手に取り、画面に目をやる。

そして、そこに表示された名前を見て、わたしはため息をつく。


【お義母さん】


…朝から、なに。


出たくない。

でも、出なければ出るまで何度も着信がある。


〈…もしもし〜〉


わたしは、裏声を使い分けて電話に出た。


〈もしもし、陽葵さん?〉


この、若干の早口で話すのが、翔平の母親――。

つまり、わたしの義理の母親だ。


名前は、飯田恵美子(いいだえみこ)

20歳を過ぎて、7歳年上のお義父さんと結婚して、23歳のときに翔平を生んでいる。


現在、56歳。
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