断罪された公爵令嬢は元婚約者の兄からの溺愛に囚われる

「あ、ヴィーもこれがいい? 一緒だね」
「はい。このデザインが、ジャックさまのイメージにピッタリで……!」
「えっ、そうかな。僕はヴィーに似合いそうと思ったデザインを選んだのだけど」

 ……お互いを想って、デザインを選んだ事実が擽ったい。

「うふっ、ではこちらのデザインにいたしましょうか。この後、台座にはめる宝石を決めていただいて、オーダーは終了になります」

「僕はヴィーの透き通った蒼(あお)い瞳が好きだから、それに近い色のサファイアがいいな」
「っジャックさま……!」

 わたくしの色が、ジャックさまの指にはめられるだなんて。
 ――こ、今度こそ、心臓が止まってしまいそうだわ……!

「ヴィーはどうする? もうこのリングで、僕の色は使ってしまっているしね」

 そう、以前にいただいたリングは、ジャックさまの瞳の色に、ゴールドの台座は黄金の髪の毛の色を表している。

「婚約や結婚に使う宝石ですと、ダイヤモンドがお勧めですわ。永遠の絆を結ぶ石と言われております」
「永遠の絆を結ぶ……! わたくしダイヤモンドにいたしますわ」
「僕のリングの脇石もダイヤモンドがいいな」
「承知しました。それでは、清書したデザイン画を後ほど送らせていただきたく存じます。ご了承いただけましたら制作いたします」
「わかりました。ありがとうございます」

 浮かれた気持ちで、お店を出て、また馬車へ乗り込む。
 我が家で、お茶をしながら、お互いの好きなものや苦手なものを沢山話す。
 過去の自分に教えてあげたいほどの幸せな一日を過ごした。

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