断罪された公爵令嬢は元婚約者の兄からの溺愛に囚われる


「よう、ヴィクトリア。きちんと震えて待ってたか?」

 ニタリといやらしい笑みを浮かべて、イーサンが檻の前に立った。
 粘着質な目線は、わたくしの身体をうつしている。身震いを必死に耐えて、柔らかな笑みを浮かべた。

「イーサン殿下、お待ちしておりました」
「な、なんだ? 気色悪いな」

 いきなり態度を変えたわたくしに戸惑いを隠せないイーサン。けれど、必死に演じ切らなくてはならない。

「わたくし、一晩イーサン殿下の事を考えましたの。それで、本来結ばれるはずだった貴方様の性奴隷になれるならば本望だと思いまして……」
「は?」

 壁にもたれかかって立ち上がる。一歩、また一歩と鉄格子の方へと、壁を伝い向かう。手足を拘束されているけど、バランスをとって懸命に。
 呆気に取られたイーサンの元へ辿り着くと、流し目で見つめる。

「どうか、優しくしてくださいませ」

 色っぽく、見えるだろうか。ジャックさまのお顔を思い出しながら、甘えた声を出すのは耐え難い屈辱。けれどこれは貞操を守るため……。

「ほう。逃げるのを諦めたか。そうだな、お前みたいなプライドの高い女が従順になるのも気分がいいかもしれないな。はははっ」

 下衆な笑い声が檻に響く。腰から鍵を取り出し、ガチャリと鉄格子の扉が開いた。
 わたくしの前に立つと、顎を捕まれ、一瞬息を呑む。

「憎いお前だが、性処理に使うには肉つきも良くていい奴隷だ。寛大な俺様に感謝するんだな」
「はい。早速ですが、ご奉仕して差し上げたいので、拘束を解いていただいても……?」
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