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 それでも私にとって幸運だったのは、学校が一緒になれたということだ。

 私は中学受験をして、電車で通う私立の中学校に入った。

 それが偶然だけど、出雲くんの学校だったのだ。

 もちろんびっくりした。こんな形でまた近くで過ごせるとは思わなかった。

 でも……これまた私の想像とは違っていた。

 中学生にとって、学年が違うというのは大きい。

 しかも出雲くんは小学生の頃から女子に人気があったけど、さらにカッコ良くなっていた。

 つまり女子にかなり人気があるのだ。

 学年が違う女の子が気軽に会いに行くには気が引けてしまう。

 私はよく知らないけれど『抜け駆け禁止』というルールすらあるらしい。

 だから違う意味で、気軽に話せなくなってしまった。

 私ははじめ「同じ学校なんだ!」と心が明るくなったものの、違う意味で残念に思った。

 それでも小学生の頃に比べれば、ずっと近くにいられる。

 たまに顔を見られたり、なにかの拍子に軽く話をできるだけで、満足するようにしていた。

 子どもの頃からずっと、特別な意味で出雲くんが好きだったから、昔みたいに一緒に過ごせないのは寂しかったけど仕方がない。

 だから、楽しかった夏休みも終わろうとしている頃のこと。

 急に「出雲くんのご両親の都合で、しばらくうちに住んでもらうことになったから」なんてお母さんから聞かされたときは、飲んでいたお茶をふき出してしまうかと思うくらい、動揺してしまった。
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